英ポンド/円相場は、1ポンド=155円台中盤まで軟化している。前週までは約2週間にわたって158~160円をコアレンジとした膠着気味の展開になっていたが、10月入りしてからはドル/円相場の軟化に引きずられる形で、約1ヶ月ぶりの安値を更新している。ポンドは対米ドルでも上げ一服となっており、ユーロ/円との比較でもポンド/円の下げ幅は大きくなっている。
これまで強気評価一色だった英経済指標だが、ここにきてやや弱めの数値がみられるようになっていることが、ポンド相場高に対する修整圧力に直結している。9月の購買担当者指数(PMI)は製造業、建設業、サービス業の全分野にわたって市場予測を下回ったが、10月9日に発表された8月鉱工業生産も前月比-1.1%と予想外のマイナスになっており、英景気回復の力強さに疑問が投げ掛けられている。これまでのポンド相場高は、英景気見通しの改善に強く依存しているだけに、ここにきて突然の景気減速リスクの蒸し返しに、投機筋がポンドの買いポジションを手仕舞っている模様だ。
目先は特に注目度の高い指標の発表は予定されておらず、10日のイングランド銀行(英中央銀行)金融政策委員会(MPC)が注目されることになる。ただ、カーニー総裁は9月27日の講演で追加の量的緩和は必要ないとの見方を示したばかりであり、これに沿った発言が繰り返されれば、ポンド相場の下振れリスクは限定されよう。米予算協議に進展が見られない中、本格的なポンド高・円安シナリオを描くのは困難な情勢にあるが、ポンド安トレンドへの転換までは想定していない。ポンド/円は押し目買いスタンスで対処すべき相場とみている。
テクニカルでは、一目均衡表の基準線157.07円を完全に下向き、同水準が当面の抵抗線になる。支持線は雲上限の152.74円だが、今月下旬は157円水準まで切り上がる。サイコロジカルは、前週の6勝6敗から4勝8杯に。14日RSIは43.75。